福島牛Magazine「わ」 畜産農家訪問 育む人

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岡部 新一郎さん、岡部 智史さん

大切なことは全部、牛が教えてくれました

若き後継者も迎え、いずれは繁殖も行い、より良い牛の生産を

福島県の南東部、石川郡古殿町の北部で牛の肥育を行っている岡部新一郎さんは、父親の跡を継ぎ30年近く。「大抵のことは牛から教わった」といいます。「牛の具合が悪そうなとき、こうすれば大丈夫だろうと思っていてもうまくいかないこともある。牛ときちんと向き合うことが何より大事なんです」。何よりも牛の個性や癖を見極め、ストレスの少ない環境をつくるようにしているそうです。
現在80頭程の牛を育てていますが、昨年から甥の智史さんが新一郎さんの片腕として働き始めました。動物が好きで、繁忙期などに新一郎さんを手伝ってきたという智史さんですが、新一郎さんのケガをきっかけに、後継者として働きたいと思うようになったといいます。「面倒を見ている牛がちゃんと育ってくれるのは嬉しいですね」。飼料の切り替え時期を工夫するなど、できることからやっていきたいと話してくれました。
「福島牛は、脂がいいから食べ飽きることがない」と新一郎さん。そんな脂に仕上げるために、出荷前に米を与えるのだそうです。「この地域でずっとやってきたことです」。生産者同士の協力や情報交換も行いながら、牛と向き合う日々は続きます。智史さんという後継者を迎え、将来は肥育に加え繁殖も行い、よりよい牛の生産を目指していきたいと、笑顔を見せてくれました。

山間で牛の肥育を始めて30年以上になります。

現在修行中!よりよい牛の生産を目指します。

【古殿町】

岡部 新一郎さん、岡部 智史さん

新一郎さんは40代で父親から牛舎を引き継ぐ。甥の智史さんは2021年、実家のある埼玉から移住して本格的に新一郎さんの後継者を目指し奮闘中。

【2023年3月10日号】

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